2011/08/10

第6回 夢の話

眠ってみる夢と、願う夢とは同じなのだと誰かが言いました。
ユングの言う無意識とか、葵の上に取り憑いてうっかり殺しちゃう六条御息所とか、ヴェルヌの見た夢。
夢見る少女じゃいられない、と歌った相川七瀬ももうお母さん。
平安時代の人は、眠るときにみる夢にでてくる人というのは、眠っている間に体から魂が抜け出て、自分に逢いにきたのだというように考えていたそうです。通い婚?
ありえません。月の出ない夜に迷って、たどり着いたのが私の所だったんだ と 思います よ。
私のiPodは今、フォーレの「夢のあとに」を流しています。エンドレスでループして。誰だかわからないけれど清らかな、技巧のみに頼り切らずたしかに情感豊かな、玉を転がすようなソプラノです。
「夢のあとに」一体どうしているのでしょうか?それが夢であった事、目覚めてしまったことを激しく嘆きつつも寂しさが微妙な優しさを探り出すような、レースのカーテンからの日の光、微笑みで途切れる囁きため息、起きているのに布団から出たくなくてごろごろやたら長い朝寝とかでしょうか。朝寝!貴族ですね。
少なくとも、酔いつぶれて飲み屋に泊まってたとかそういう事じゃなさそうです
あなたにはフォーレよりショパンが似合うと思いますわ。
でも私には愛の夢。


(2011.8.11 配信)