命名が不得意なので、名称未設定4.txt とかのファイル名がどしどし増える。
タイトルが苦手。特に「りんごのある静物」と言われれば、嘘だ! なんの罠だ!と耳と尻尾がとんがる次第。
本当にりんご等だけなのか、 エデンから白雪姫につらなる罪の系譜か、
青森のりんご農家の北風に震えるほっぺか、 てゆーか素朴さを装った皮肉?とか、喧嘩になりそう。
no more 説明。
形容詞とかも汚らわしい生活のカスであり、 比喩は本文からの逸脱である。
かような日常の穢らわしい夾雑物から、 言葉を解放して行かなければならない… のような事を割と中学の時まじに考えていた。 だからアンチタイトル。
抽象なのか具象なのか。んなもんひとつの属性であって、 優劣ではないことに気づくのに思春期の大半を空費した。その間「 りんごのある静物」 系の作品を見つめるゆとりというものはなかった。
とにかくタイトルつって、よけいな事言うの嫌じゃん。
でも世の中には良いとかうまいタイトルがあって、 期待を引っ張ったり、雰囲気にうまく同調したり。 忘れた頃に後ろからぶすっと刺すようなタイトルもいい。
むしろタイトルによって、 積極的に内容を切り変えてゆくのもよろしい。
言うまでもないけど、 言葉は必ずしも正確な状態を説明する必要はないよね。 どこにもりんごがないってのもよくある話だけど。
否定も肯定もせず、 無意識の最果てまでを汲みうるきっかけのような、 言葉の有り様が好きだ。
りんごのある静物だとか花の絵だのが、 特に深い理由もなく応接間にかけられているのと同じに。
(2012.12.11 配信)