2012/06/11

第十六回「男子に生まれたキミを包み込むメスブタの巣」




センチメンタルバスの「だんしじょし」って曲が好きだった。
でも例にもれず恥ずかしいから「○○女子」とか言わないためにどうすればいいのかを知りたい。

はるか昔、インターネット黎明期。ホムペのプロフ(死語?)に「いちおー女^^;」とか「XX」とか「♀」とかわざわざ書いてみる風潮があった。前略プロフィールとかの場所である。照れがちな、ズバリの表現を避けると同時にユーモアセンスをアピールする目的はあったものの、かえって照れる恥ずかしさ、レンタルサーバー個人サイトadmin的な恥ずかしさからは逃れることが出来なかった。
だからって直球「女」と言ってみると、極めて大奥嫁と姑給湯室二時間ドラマワイドショーな感性におえっぷ食傷気味だし、「オンナ」とか言ってみると、あぁあなんという80's週刊誌クオリティ、古いやだ生々しいピンク、そのような紆余曲折を経て「女子」なる表現に我々はようやくたどり着いたのかもしれないのだった。
しかしだからこそ「女子会」とか「○○女子」という言葉を聞くたびに、そういう遥か悠久の歴史に思いをはせるあまり万感極まって吐瀉物をそこらに滾らせそうになるんだった。ああこじらせた。こじらせたんだよ。自認するとああ恥ずかしい、消臭剤かけたら余計にくせーよ牛乳拭いた雑巾腐ったよ的にドミノ倒しに被害が拡大しているのがわからんのか!!!!!!!!!!

あまりにつらい。私のようなメスブタは、巣に帰りたい。
しかし、メスブタという卑下も大概である。おんなしである。

大体「男子」「女子」っていい年こいた大人が「マスコミの言葉に踊らされてみました(笑)」という大義名分?のもとに自認をこじらせて男子女子、男子女子ですよ。あああああ高校三年生僕ら離れ離れになったというのになんなのよ、局所的な発毛に象徴される思春期の心の痒さ、学級委員の権力への意思、剣道着の汗臭さ、リア充非モテのスクールカースト、好きな人に鼻かんだティッシュ見られて泣いたり女子(まさに)だけ体育館で何のビデオ見てたの?って聞かれて「ランボー3。怒りのアフガン」とか虚ろな瞳で嘘ついたあの罪悪、小中高という恥辱の強制収容所、そのようなもどかしさ、恥ずかしさに立ち返りたいの?馬鹿なの?死ぬの?
第三次性徴期(更年期)を前にして、我々は過ちを繰り返そうとしてるの!!!????
いずれにせよ人々の思想の奔流を分ける小石、あるいはただ流されている無数の小石のひとつとして、「男子・女子」もいつかなにかしら道しるべとして振り返ることが出来るのだろう。恥ずかしい思い出そのもののように。と、思うと、「女子会やるよっ☆」とか言われると「…メスブタの巣…メスブタ集会…」と私はひとりごち、地獄の苦しみにのた打ち回るしかないのであります。



(2012.6.11 配信)